助成金

スキルアップ助成金の活用法|企業と個人の支援制度を徹底解説

企業や個人が「働くためのスキル」を高めるためにかかる費用を、国や自治体がサポートする制度が「スキルアップ助成金」です。

雇用保険適用事業所や一定の条件を満たす個人が対象。
社内研修やeラーニング、オンライン・オフライン研修など、多彩な学習スタイルを支援。

自己投資を後押しし、費用負担を軽減しながらキャリアアップを実現する強力な制度です。

1. スキルアップ助成金とは?

対象となる人・事業者(共通条件)

  • 事業主(雇用保険適用事業所)や、その従業員

  • 個人利用者は国内居住かつ「就労のためのスキル習得」を目的とすること(失業者・非正規雇用・ひとり親家庭など優先)

  • 禁止事項など不支給条件:不正受給歴・労働法令違反・未納保険料など

支援範囲

  • 研修費用・講師謝金・教材費

  • 賃金補填(研修中の賃金支払い分)

使える場面の例

  • オフライン研修(講師を招いた研修・社内研修)

  • eラーニングやオンライン研修

  • 民間スクール受講、国家資格取得講座、DX研修など幅広く対応

企業向け主要スキルアップ助成金の紹介

A. 人材開発支援助成金

厚生労働省提供。目的は「職務に関連した専門知識・技能習得」。主なコース:

  • 人材育成支援コース:賃金・訓練経費補助

  • 教育訓練休暇等付与コース:有給休暇を使った研修に補助

  • 人への投資促進コースリスキリング支援コースなど全7コース

✅ 2025年の改正ポイント

  • 令和7年4月より申請手続きが合理化

  • 訓練対象はOJT付き訓練も含む、多様な形式が可能

✅ 補助額の目安

  • 賃金補助:中小企業は1時間760円、通常企業は380円

  • 経費補助:45~100%、訓練内容や企業規模により異なる

B. キャリアアップ助成金

非正規雇用の待遇改善・正社員化などを支援。7コース構成で、最大57~60万円などの助成が可能

  • 賃金規定改定や共通化賞与・退職金制度導入など

  • 社会保険適用時処遇改善短時間労働者の時間延長など多様

事前に「キャリアアップ計画」を提出し、各コースの要件を満たす必要があります

C. 産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)

出向型の人材育成に使える制度。

  • 従業員が出向し、復帰後に5%以上の賃金アップなどの条件あり

  • 都道府県労働局やハローワークへ計画届の提出が必要

D. 東京都「事業内スキルアップ助成金」

都内中小企業向けに東京都が用意。

  • 社内企画のOFF‑JT研修が対象

  • 補助額:受講者数×研修時間×760円、企業あたり150万円まで申請可能

申請条件・流れ

  1. 研修内容・日程を計画(計画届)
  2. 交付申請:研修1ヶ月前までに紙or電子(J‑グランツ
  3. 研修実施・報告:出席率80%以上
  4. 支給申請・受領

 

 個人が使える制度

個人向け教育訓練給付金

厚労省の制度で、受講料の最大70%(年間56万円まで)が支給されます。

区分 対象講座例 給付率 / 上限
専門実践教育訓練 IT・介護・看護など国家資格レベル 70% / 年56万円
特定一般教育訓練 TOEIC、簿記初級など 40% / 年20万円
一般教育訓練 その他スキル取得講座 20% / 年10万円

ハロートレーニング・求職者支援訓練

公共職業訓練で、受講料が無料または低額。非正規・失業者向け種々コースありコエテコ

母子(父子)家庭自立支援給付金

母子・父子家庭対象。教育訓練講座費用の60%給付、また上位資格では月14万円+修了金5万円までコエテコ

利用メリットと注意点

利用メリット

  • 自己負担を抑えつつ、質の高い研修を受講可能

  • 企業では生産性向上・従業員定着率アップに貢献個人ではキャリア転換・資格取得のコスト軽減

注意点・要チェック事項

  • 申請期限や出席率(80%以上など)など要件が厳格

  • 事前計画届・キャリアアップ計画提出が必須

  • 不正受給や法令違反は不支給対象となる可能性あり

  • 地方自治体によって細かい条件が異なることも(例:東京都のDX助成金等)

よくあるQ&A

Q1. 申請手続きの手順は?
A. 対象制度・コースを選び、計画書提出→研修の実施→実績報告→支給申請→受給という流れです(J‑グランツを使用可)。

Q2. 個人でも使える?
A. はい。教育訓練給付金やハロートレーニングなどで、個人でも最大70%補助+無料講座を受けられます。

Q3. どれが良いか分からない
A. 申請対象や研修内容によって最適な制度が異なるため、ハローワーク・労働局・自治体窓口に事前相談がおすすめです。

まとめ

  • スキルアップ助成金は、大枠で「企業向け助成金」「個人利用制度」に分類されます。

  • 企業は人材開発支援助成金・キャリアアップ助成金・産業雇用安定助成金・都道府県制度などを活用。

  • 個人は教育訓練給付金・ハロートレーニング・母子家庭支援制度を使い、費用負担を大幅に削減可能。

  • すべてに共通するのは「事前申請」「出席要件」「適正な使途」など要件順守が重要という点。

  • 自身や組織にとって最適な制度を見極め、ぜひ有効活用してください。

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